正しいようで正しくない繰上げ返済
多くの皆さんが、住宅ローンは早く返したい(つまり、早く借金を無くしたい)と考えるようです。
実はこの考え、正しいようで正しくはないのです。
えっ!なんで?
早く借金が無くなるに越したことは無いじゃない!
という声が聞こえそうですが、逆に言うと、住宅ローンを借りたということは、借金をする能力があった、つまり金融機関が返せると判断したということなのです。
例えば3,000万円を35年で借りたら、35年で返せる能力があると金融機関が判断したことになるのです。これを金融機関側は「期限の利益」と言っています。
借りる側は実は期間(この場合35年)という利益を受けたということになるので、そもそも早く返す(繰り上げ返済)ことは、異例なこと(手段)であるということを認識してください。
ようするに生活を圧迫して繰上げ返済をすることは、本来の住宅ローンの意義に反しているのです。ただ、実際には金融機関が住宅ローンの商品性を柔軟化したこともあり、金利上昇リスクや定年後もローンが残るリスクがある為に、繰上げ返済が当然の行為としてクローズアップされてきているのです。
繰上げ返済の失敗例
こんなエピソードがあります。
住宅ローンを早く返したいということで、毎年100万円以上の資金を繰り上げ返済に充てたご家庭がありました。
結果として当初35年で借りた住宅ローンが15年程で完済しました。
合計の利払いも随分節約できましたし、身軽になりましたが、その間は、とにかく生活を切り詰めて、食費はもちろんレジャーや教育に掛ける費用も徹底的に削減したとのことでした。
ところが・・・
住宅ローンを完済した翌年、一家の大黒柱であるご主人が脳溢血で帰らぬ人となってしまったのです。
団体信用生命保険の存在
この時、奥さんは大変な後悔をすることになったのです。
そう、団体信用生命保険の存在です。
団体信用生命保険はご存知の通り、借主(この場合ご主人)に万が一のことがあった場合は住宅ローンがチャラになるという保険です。今では、9割以上の方がこの団体信用生命保険に加入しています(住宅ローンを借り入れる条件にもなっています)。
このご家庭の場合、15年で住宅ローンを完済しましたが、結果論ですが、16年目にご主人が帰らぬ人になったので、例えば繰上げ返済をせずに住宅ローンが残っていても、住宅ローンはチャラになっていたのです。
もし、繰上げ返済をしなければ・・・
もし、繰上げ返済をしなければ、旅行にも行けたし、もっと裕福でゆとりと笑顔のある生活ができていたことを思うと、奥様は大変悔やんだそうです。
このエピソードからもわかるように、住宅ローンは無理に返す必要はなく、収入が安定的にあるうちであれば、無理なく条件通りの毎月返済を行っていけば良いということなのです。団体信用生命保険の存在価値は非常に大きいのです。
もちろん、収入が急上昇したり、一時的な余裕資金が入ってきた場合は、迷わず繰り上げ返済をしたほうが良い事は当たり前ですが。
安心とゆとりのある生活を
大事なのは「収入があるうち」に住宅ローンは全額返すプランを作り、それに備え、ゆとりある生活を送ることです。
住宅ローンは結果として、借入金額にもよりますが、数千万円もの利息を支払う商品です。ここで節約を図るのでなく、諦めも肝心で、安心とゆとりを得るという考えも大切であることを皆さんには知って頂きたいと思います。




